B104号室
(1)分子偏向器と2次元イオン画像化装置を組み合わせた気体分子の配向制御装置
高い分子配向度の実現を図るため、非対称コマ分子や直線分子などの回転量子状態を選別するために最近開発した分子偏向器と分子の瞬間的な配向状態をクーロン爆裂イメージング(Coulomb explosion imaging: CEI)法で観測するための2次元イオン画像化装置を組み合わせた装置です。既に、回転量子状態を選別したヨードベンゼン分子を試料とし、静電場とピーク強度付近で急峻に遮断されるナノ秒レーザーパルスを用いてパルスの遮断後にレーザー電場の存在しない条件下での1次元的な配向制御の実現に初めて成功しています(論文準備中)。今後、静電場とピーク強度付近で急峻に遮断される楕円偏光したナノ秒レーザーパルスを用いてレーザー電場の存在しない条件下で3次元配向を初めて実現することを目指しています。さらに非共鳴2波長レーザー電場を用いた全光学的な手法にプラズマシャッター技術を適用し、レーザー光の偏光を平行にすることにより1次元的な配向制御をレーザー光の偏光を交差させることにより3次元的な配向制御をレーザー電場の遮断後に静電場も存在しない完全にフィールドフリーな条件下で実現することが喫緊の課題となっています。
(2)Even-Lavie valveを装備した高次高調波発生・観測装置
よりよく配列・配向した分子から発生する高次高調波を観測するために、高次高調波発生・観測装置を新たに開発した。気体分子の配列度や配向度をできるだけ高めるためには分子試料の初期回転温度をできるだけ下げることが重要であることから、パルス分子線の供給にEven-Lavieバルブを採用した。また、レーザーの集光位置と分子線の相対位置を精密に調整するために、Even-Lavieバルブを組み込んだ真空チェンバーのXYZ座標を精密に調整するための機構を導入した。発生した高次高調波は平面結像型斜入射分光器で分光し、X線CCDカメラで観測する。