B102号室

(1)搬送波包絡位相を制御したフェムト秒Ti:sapphireレーザー増幅システム

 

(1)搬送波包絡位相を制御したフェムト秒Ti:sapphireレーザー増幅システム

(1)搬送波包絡位相を制御したフェムト秒Ti:sapphireレーザー増幅システム

搬送波包絡位相(Carrier-Envelope-Phase: CEP)に依存する物理現象の探究に不可欠のレーザー増幅システムです。主な仕様は以下のとおりです。パルス幅:25 fs、パルスエネルギー:> 6 mJ、繰り返し:1 kHz、平均出力> 6 W。希ガスを充填したホローコアファイバーとチャープミラーで構成されるパルス圧縮器でパルス幅< 7 fsまで圧縮することも可能です。


(2)電子・イオン多重同時計測運動量画像分光装置

 

(2)電子・イオン多重同時計測運動量画像分光装置

(2)電子・イオン多重同時計測運動量画像分光装置

原子分子中でレーザー電場に直接応答して生成される光電子と(フラグメント)イオンの3次元運動量を同時に計測できる装置です。イベントを特定するためのコインシデンス測定も可能です。高エネルギー加速器研究機構教授の柳下明先生のご協力を得て、最近開発した装置です。ここに記して謝意を表します。配列・配向した分子を試料としたトンネルイオン化とそれに伴う非段階的2重イオン化の配向依存性などを明らかにする「分子内電子の立体ダイナミクス」の研究や多原子分子の超高速構造変形のダイナミクスなどを明らかにする研究で活用する予定です。


(3)高次高調波の強度スペクトルと位相スペクトルの観測装置

 

(3)高次高調波の強度スペクトルと位相スペクトルの観測装置

(3)高次高調波の強度スペクトルと位相スペクトルの観測装置

近年、配列・配向した分子中から発生する高次高調波の観測に基づく分子軌道のイメージングが注目されています。電子のド・ブロイ波の破壊的量子干渉効果、分子内ホールのダイナミクス、複数の分子軌道の寄与や電子相関などの情報も得てより精度の高い分子イメージングを実現するためには、高調波の強度スペクトルだけでなく、位相スペクトルを観測することが不可欠です。本研究室では最近、高次高調波で希ガスからイオン化した光電子の運動量を基本波用のレーザー電場で変調した光電子スペクトルを観測することにより高調波の位相スペクトルを評価する装置を開発しました。開発した装置を用い、ArとN2分子中から発生する高次高調波の隣り合う次数間の位相差を観測したところ、サイドバンド次数12の位相差は、N2分子中から発生する高調波の位相差がAr中から発生する高調波のそれよりも有意に大きいことを明らかにするとともに、それがクーロンポテンシャルの性質の差による可能性を指摘した(Phys. Rev. A 90, 063403 (2014))。 より高精度な超高速分子イメージング技術の開発により、配列・配向した分子中からの高次高調波発生の基礎物理過程の詳細が解明されることが期待されています。